服と煙突と気候 ~夏を快適に過ごす方法:衣服気候の調整~

服と煙突と気候 ~夏を快適に過ごす方法:衣服気候の調整~

衣服内気候の調整

煙突気候、一見全く関係なさそうなモノが並んでいます。 昔、「部屋とワイシャツと私」という歌がありましたが、それ以上に関係性が見えてきません。 でも実はこの3つ、夏を快適に過ごすために重要な意味を持っているんです。 一部の部族の方を除き、地球上のほとんどの人間は服を着ていますね。 普通、「気候」と聞くと天気予報で聞く気温や湿度等のことを思い浮かべますが、 実際我々が触れている気候の半分以上は、「服の中にある気候」であることに 気づいている人はほとんどいません。

衣服気候とは?

服の中にある気候のことを「衣服気候」といいます。 これは体と衣服との間にできる微妙な空間の気候を指す言葉です。 この気候を調整してあげることが、快適に過ごすキーワードなわけです。 じゃあ、どの程度に調整すればいいんでしょうか? 次の図をご覧ください。

最も快適な気候とは?

この図によると、人が裸体で快適と感じる温度は28℃~32℃です。 この温度はは中性温度域と呼ばれています。 もっと詳しくいうと、 皮膚に接した胴体の最内空気層の温度が32℃±1℃、相対湿度が50±10%、気流10㎝/sec が最も人にとって快適であるといわれています。

煙突効果とは?

でも、最近猛暑続きで、平気で35℃超えていくよね? 外なんか歩く時どうすればいいのよ? そんなときのために覚えておいて欲しいのが、「煙突効果」です。 簡単に言うと、「服の中に気流を起こす」のです。 詳しい煙突効果はここでは省かせていただきますが、 熱い空気が服の中にあるときに、下から上に向かって風が流れる効果です。

 煙突効果 ウィキペディア )

この効果を利用して、服の中に風を流して、 かいた汗が蒸発→気化させて体温を下げてあげるのがいいのではないでしょうか。

どんな服が涼しいの?

それでは、どんな服が涼しいと感じやすいのでしょうか? 煙突効果を起こしやすい服は、足元が広がっていて、首元が開いたタイプの服です。 ウエスト部分も開いてある必要がありますね。 女性・男性でそれぞれ書いてみますと、

・女性にとって涼しい服

女性の場合はワンピースがおすすめです。 空気の流れを作る関係から、ウエストがゆったりしていて、首回りは空いたタイプがいいでしょう。 また、最近はやっているようですが、 大きなベルトなどでつくるウェストマークは、空気の流れを阻害しますので 作らない方が賢明といえます。残念ですが。

・男性にとって涼しい服

男性は、ウェストを締めないファッションがほとんどありません。 ですので、こんなタイプはいかがでしょうか? ハーフパンツ + サスペンダー(ズボン吊) + アロハシャツ です。 できるだけゆったりした、裾が広めのハーフパンツを サスペンダー(シャツ内部)で吊ってウェストをできるだけ締めないようにします。 上半身も、ゆったりしたアロハシャツなどで 首元をゆったりさせて空気の流れを作りましょう。 もちろん、通常の仕事でこんな格好が容認される可能性は低いわけですが、 ワイシャツの首元を開けたり、ベルトをゆったりさせてあげてたりするだけで、 少し涼しくなるようです。 ただ、夏は日差しが強いときもあります。開けすぎで日焼けしてしまうと 余計に暑い・・・なんてこともありますので、日よけ対策は忘れないでくださいね。   参考文献:「衣服と健康の科学」日本家政学会被服衛生学部会 編 平成15年2月28日 丸善株式会社発行 p.4